この記事では水力発電の種類を説明します。
電験三種にも出題されますので、過去の出題傾向を踏まえてまとめました。
分かりやすいように分類方法によって大別しています。
水力発電は毎年出題されていますので、しっかり押さえて確実に点を取りましょう。
【まとめ】水力発電の種類
最初にまとめです。
はじめに
水力発電の種類は『落差を得る方法』と『水の利用方法』で分類されます。
落差を得る方法による水力発電の分類
落差を得る方法による分類では、水力発電は①水路式、②ダム式、③ダム水路式の3種類に分けられます。
水路式
水路式は、河川の上流に取水ダムを設けて水を取り入れ、十分な落差のある地点まで導水して発電する方式です。
水は取水ダム→取水口→沈砂池→無圧導水路→ヘッドタンク(上水槽)→水圧管→水車(発電所)→放水路と流れていきます。
水路式はダム式、ダム水路式に比べて建設費は安くなります。
しかし、貯水できないので発生電力の調整はできません。
ダム式
ダム式発電は、ダムにより川をせき止めることで生じる落差を利用して発電する仕組みです。
水は貯水ダム→取水口→水圧管→水車(発電所)→放水路と流れていきます。
貯水により流量の調整ができるため、電力需要が大きい時に合わせて運転できます。
ダム水路式
ダム水路式は、ダム式と水路式を合わせた方式です。
ダムの落差だけでは不十分な場合に、自然の高低差が得られる場所まで水を導水し、そこで発電します。
水は貯水ダム→取水口→圧力導水路→サージタンク(調圧水槽)→水圧管→水車(発電所)→放水路と流れていきます。
ダム式同様に水を貯めておけるため流量の調整ができ、電力需要が大きい時に合わせて運転できます。
水圧を受ける管が長くなるため、水撃作用の対策としてサージタンクが必要となります。
サージタンクは水撃作用による衝撃力の緩和を目的とする水圧調整用水槽のことです。
圧力水路と水圧管の接続箇所に設置されます。
サージタンクの一種である差動式サージタンクは、水撃作用の圧力上昇をタンク内にあるライザの水位上昇によって吸収します。
小穴を通して水が水圧管に流れることにより、上昇した水位は元に戻ります。
サージタンクには他にも種類がありますが、いずれも大気に開放されています。
(b)水の利用方法による水力発電の分類
水の利用方法による分類は発電方式による分類、流量による分類とも呼ばれています。
この分類だと水力発電は①流れ込み式、②調整池式、③貯水池式、④揚水式の4種類に分けられます。
①~③の3種類は④に対して一般水力と呼ばれます。
流れ込み式
流れ込み式は河川を流れる水をそのまま引き込んで発電する方式です。
水路発電式がこれに該当します。
調整池などの河川流量を調節する設備を持たないため、発電量が河川流量に左右されます。
調整池式
調整池式は、小規模なダムに水を貯めることで数時間から数日程度の電力の需要変化に対応できる発電方式です。
電力需要が低いときの余水を貯水し、需要が高いときに放水して発電します。
貯水池式
貯水池式は、大規模なダムに水を貯めることで季節単位の河川流量変化に対応できる発電方式です。
ダムとして自然の湖や人口の湖が用いられ、梅雨や台風の雨、雪解け水を貯えます。
そして渇水期に放水することで年間を通して安定した発電を可能とします。
揚水式
揚水式は下部貯水池から上部貯水池に揚水するポンプを持った発電方式です。
余剰電力が生じる夜間にポンプで揚水し、電力需要が大きくなる日中に水車へ放水して発電します。
エネルギーを蓄えることで電力の需要変化に対応できます。
おわりに
以上が水力発電の種類です。
落差を得る方法の分類では水路式、ダム式、ダム水路式の3種類、水の利用方法では流れ込み式、調整池式、貯水池式、揚水式の4種類に分けられます。
本記事がみなさんの理解の一助になれば幸いです。
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