この記事では電気回路の一種であるRLC直列回路について説明をします。
電流を基準とした場合に、電圧の振幅、位相がどうなるのかを求めます。
【まとめ】RLC直列回路
RLC直列回路
抵抗\(R\)、インダクタンス\(L\)、キャパシタンス\(C\)を直列に接続したRLC直列回路を以下に示します。
電源として交流電源を接続しています。
\(v_R\)、\(v_L\)、\(v_C\)はそれぞれ電流iによる抵抗の電圧降下、誘導起電力、キャパシタンスに蓄えられる電荷による電圧です。
直列回路は電流を基準にした方が分かりやすいため、電流\(i\)の位相は0とし、電圧\(v\)の位相を電流との相対位相\(\varphi\)としています。
以降で、電流を基準とした場合の電圧の振幅\(V_m\)、位相\(\varphi\)を求めます。
微分方程式を解いて振幅、位相を求める
キルヒホッフの第2法則(電圧則)より、以下が成り立ちます。
よって、
上式を微分すると、電流\(i\)に関する微分方程式となります。
電流\(i\)、及びその1階微分と2階微分は以下となります。
式(4),(5),(6)を式(3)に代入すると以下となります。
式(7)をsin項についてまとめると、以下が得られます。
式(7)をcos項についてまとめると、以下が得られます。
式(8)を式(9)で割り、逆正接を取ると、電圧の位相\(\varphi\)が求まります。
ここで、\(X\)はリアクタンスを表しています。
式(8)、(9)の両辺を2乗すると、
式(11)、(12)を加算すると
よって
平方根を取ると、電圧の最大振幅\(V_m\)となります。
ここで、\(\dot{Z}\)はインピーダンスを表しています。
フェーザ表示より振幅、位相を求める
次に、フェーザ表示から電圧の最大振幅\(V_m\)と位相\(\varphi\)を求めます。
フェーザを用いた方が簡単なので、通常こちらが用いられます。
\(v_R\)、\(v_L\)、\(v_C\)のフェーザは以下の通り。
ここで、位相関係は、\(\dot{V}_R\)は電流と同相、\(\dot{V}_L\)は電流より\(\pi/2\)位相が進んでおり、\(\dot{V}_C\)は\(\pi/2\)位相が遅れている、となっています。
式(1)に上式のフェーザを適用すると
インピーダンスのフェーザ\(\dot{Z}\)の極座標表示は以下の通り。
また、電流のフェーザ\(\dot{I}\)の極座標表示は以下の通り。
式(18)、(21)を式(17)に代入すると、
電圧のフェーザの大きさ\(|\dot{V}|\)及び最大振幅\(V_m\)は、式(19)、(22)より、以下となります。
電圧の位相\(\varphi\)は式(20)、(22)より、以下となります。
式(23)、(24)は微分方程式を解いて求めた式(13)、(10)と同じであり、フェーザ表示での計算でも結果が同じになることが分かります。
ベクトル図
フェーザをベクトル図示したものを以下に示します。
誘導性の\(\dot{V}_L\)の方が大きければ回路全体の電圧\(\dot{V}\)は時計方向に、容量性の\(\dot{V}_C\)の方が大きければ\(\dot{V}\)は反時計方向に回ります。
その他
電気回路全般については以下をご覧下さい。
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