水車の比速度

水力発電

この記事では水車の比速度について説明しています。
比速度って何?定義は?値の範囲は?などの疑問に答えます。
本記事を読めば比速度の基本を理解することができます。

【まとめ】水車の比速度

最初にまとめです。

水車の比速度のまとめ

はじめに

最初に比速度とは何かについて用途を中心に説明します。

次に比速度の定義について数式を交えて説明します。

最後に比速度の具体的な範囲を参考資料より引用して提示します。

比速度とは

比速度(Specific speed)とは、水車のランナの形状や特性を表す指標で、水力発電用水車の選定、設計に用いられます。

水車のランナは種類ごとに形状が異なり、また、落差と流量で寸法や回転速度が変わります。
ですが、幾何学的に相似なランナは、寸法の大小に無関係にほぼ同じ特性を持つことが分かっています。
そこで、寸法の影響を排除し、形状が異なるランナ同士を比較できるように考えられた指標が比速度です。

 

比速度の定義

比速度は仮想の水車の回転速度として表されます。
仮想の水車とは、任意の水車の形状と運転状態を相似に保ち、単位落差1[m]で単位出力1[kW]を発生するように大きさを変えた水車です。
ここで「運転状態」とは水車内の流れの状態を意味し、「運転状態が相似」とはランナの周速度\(u=k_u\sqrt{2gH}\)[m/s]の比例定数\(k_u\)と流速\(v=k_v\sqrt{2gH}\)[m/s]の比例定数\(k_v\)が任意の水車と仮想の水車で等しいことをいいます。

比速度の計算式は、有効落差H[m]、水車の定格出力P[kW]、水車の回転速度N[rmp]を用いて次式のように定義されます。

比速度の単位は[rmp,kW,m]であり無次元量ではありません。
単位は表示されないことも多いです。

各水車の比速度の範囲

水車の種類ごとに適切な比速度の範囲が存在しています。

以下に具体的な値を示します。(日本機械学会の機械工学辞典より)

  • ペルトン水車 :8~25
  • フランシス水車 :50~350
  • プロペラ水車 :200~900

ペルトン水車の比速度はフランシス水車の比速度より小さいです。

また、比速度の大きな水車を大きな落差で使用し、かつ吸出し管も用いると、放水速度が大きくなり、キャビテーションが生じやすくなります。
そのため、各水車にその比速度に適した有効落差が決められています。

おわりに

以上が水車の比速度です。

比速度は水車のランナの特性を表す指標で、有効落差、水車出力、水車の回転速度から計算されます。
また、ペルトン水車、フランシス水車、プロペラ水車の順に比速度は大きくなっています。

本記事がみなさんの理解の一助になれば幸いです。

その他

発電全般については以下をご覧下さい。

 

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