この記事では水力発電に用いられる水車の種類を説明します。
水車に色々と種類があることは知っているけど、違いを整理しきれず、もやもやしている人もいるかと思います。
本記事は違いを落差、水の方向、流量の観点で整理していますので、きっとあなたのもやもやも晴れるはずです。
【まとめ】水力発電に用いられる水車の種類
最初にまとめです。
はじめに
水力発電に用いられる水車を仕組みで分けると衝動水車、反動水車、重力水車の3種類に分けられます。
以降ではその3種類に分類される具体的な水車とその特徴について説明します。
特徴は落差、水の流れの方向、流量、流量の調整方法の観点で述べています。
なお、落差と流量についてはこちらの資料を参考にしました。(参考①、参考②)
衝動水車の種類
衝動水車にはペルトン水車、ターゴインパルス水車、クロスフロー水車の3種類があります。
主に高落差で用いられます。
ペルトン水車
ペルトン水車は高落差(500~1500m)で用いられます。
水は軸と直交する方向から流入し、ランナに当たった後は自然落下して流出します。
極少~中流量(0.01~2m3/s) に対応可能です。
流量調整はノズルに取り付けられているニードル弁で行います。
ターゴインパルス水車
ターゴインパルス水車は中落差(25~300m)で用いられます。
水は軸に対して角度を付けて流入し、ランナの側面に当たった後は反対の側面から流出します。
中流量(0.2~8m3/s)に対応可能です。
流量調整はノズルに取り付けられているニードル弁で行います。
クロスフロー水車
クロスフロー水車は低~中落差(5~200m) で用いられます。
水は軸と直交する方向から流入し、ランナの中を通ってから流出します。
流出するときの圧力でもランナを回すため、反動水車の仕組みも合わせています。
中流量(0.1~8m3/s)に対応可能です。
流量調整はノズルと一体化しているガイドベーンで行います。
反動水車の種類
反動水車にはフランシス水車、プロペラ水車、カプラン水車の3種類があります。
主に中~低落差で用いられます。
また軸を逆転することでポンプとして作動するため、揚水発電に対応可能です。
フランシス水車
フランシス水車は中落差(10~300m) で用いられます。
水は水車の軸と直交する方向から流入し、ランナで向きを変えて軸方向へ流出します。
中流量(0.3~10m3/s)に対応可能です。
流量調整はガイドベーンで行います。
プロペラ水車
プロペラ水車は低~中落差(2~150m) で用いられます。
水は水車の軸方向から流入し、ランナで向きを変えることなく流出します。
極小~中流量(0.01~3m3/s)に対応可能です。
流量調整機能は無いため、流量変化が無い場所に用いられます。
カプラン水車
カプラン水車はプロペラ水車の一種で、中落差(10~60m) で用いられます。
水は水車の軸方向から流入し、ランナで向きを変えることなく流出します。
大流量(10~m3/s)に対応可能です。
流量調整は羽根の向きを変えることで行えるため、プロペラ水車が対応できない流量変化のある場所に用いられます。
重力水車の種類
重力水車にはらせん水車、上掛け水車、下掛け水車の3種類があります。
主に落差の小さい小水力発電で用いられています。
らせん水車
らせん水車は低落差(1~5m)で用いられます。
水は軸方向から流入し、らせん状につけられている羽根をつたって軸方向へ流出します。
中流量(0.5~2.0m3/s)に対応可能です。
流量調整の機能はありません。
上掛け水車
上掛け水車は低落差(2.5~5.5m)で用いられます。
水は軸と直交した方向からランナ上部へ流入し、羽根に載ってランナ下部から流出します。
中流量(0.2~1.2m3/s) に対応可能です。
流量調整の機能はありません。
下掛け水車
下掛け水車は極低落差(1~2m)で用いられます。
水は軸と直交した方向からランナ低部へ流入し、羽根に載ってランナ底部から流出します。
中流量(1.0~2m3/s) に対応可能です。
流量調整の機能はありません。
おわりに
以上が水力発電に用いられる水車の種類です。
衝動水車にはペルトン水車、ターゴインパルス水車、クロスフロー水車の3種があり、高落差で用いられています。
反動水車にはフランシス水車、プロペラ水車、カプラン水車の3種類があり、中~低落差で用いられています。
重力水車にはらせん水車、上掛け水車、下掛け水車の3種類があり、低落差で用いられています。
本記事がみなさんの理解の一助になれば幸いです。
その他
発電全般については以下をご覧下さい。
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