水力発電に用いられるダムの種類

水力発電

この記事では水力発電に用いられるダムの種類を説明します。
種類が多いため、ここでは電験三種の試験で過去に出題された範囲に絞ります。
水力発電は毎年出題されていますので、しっかり押さえて確実に点を取りましょう。

【まとめ】水力発電に用いられるダムの種類

最初にまとめです。

水力発電に用いられるダムの種類 まとめ

はじめに

ダムの種類は分類方法によって様々です。
本記事では目的による分類方法と型式による分類方法を取り上げます。

目的による分類

目的で分類すると『治水』、『利水』の2種類に大別されます。
『治水』は「洪水調節」と「不特定利水」の2種類に分けられます。
『利水』は「上水道」、「工業用水」、「灌漑」、「発電」、「レクリエーション」、「消流雪用水」の6種類に分けられます。

ここで「発電」を目的とするものが水力発電で使用されるダムです。
水力発電だけを目的としているものは発電専用ダムと呼ばれ、水力発電以外の複数の目的を兼ね備えるものは多目的ダムと呼ばれます。
水路式発電で建設される取水ダムとダム式/ダム水路式発電で建設されるダムは発電専用の場合もあれば多目的となる場合もあります。

型式による分類

型式で分類すると、『コンクリートダム』、『フィルダム』、『台形CSGダム』、『コンバインダム』の4種類に大別されます。
『コンクリートダム』はさらに「重力式」、「中空重力式」、「アーチ式」、「バットレス」等の種類に分けられます。
『フィルダム』は「ロックフィルダム」、「アースダム」の2種類に分けられます。

このように多くの種類がありますが、ここでは過去に電験三種の試験で出題されたものを取り上げます。
「重力式ダム」、「アーチ式ダム」、「ロックフィルダム」、「アースダム」の4種類について説明します。

重力式ダム

重力式ダムはコンクリートでできたダムの重さで水圧に耐えます。

構造が簡単で安定性もよいため、一番よく使われています。

一方、ダムの体積が大きくなるためコンクリートが大量に必要です。

さらに、大量のコンクリートの重量で沈まないように、岩盤など強度のある地盤も必要となります。

コンクリートの使用量を減らしたい場合は、両岸の幅が狭くなっている地点に建てます。

アーチ式ダム

アーチ式ダムは形状がアーチになっており、その構造の強さで水圧に耐えます。

薄いのでコンクリートの量を節約できるメリットがあります。

一方、ダムの両岸に最も力がかかるので、建設地の両岸が丈夫な岩盤でないと建てられません。

加えて、ダムが長くなると強度を出せないため、両岸の幅が狭いことも条件になります。

ロックフィルダム

ロックフィルダムは中心から外側に向けて、コア、フィルタ、ロックの3層構造になっています。

コアは水を通さない粘土層、フィルタは砂利でコアを保護、ロックは岩石でコアとフィルタを支えます。

ロックフィルダムは建設地の地盤が悪くても建てることができます。

ダムが非常に大きくなるため底面積は大きく、力が分散されて圧力が小さくなるためです。

ただし、建材が大量に必要となるため、建設地付近に砂利や岩石が多いことが条件となります。

アースダム

アースダムは土を主材料にしているダムで、灌漑用のため池の建造に適しています。

地盤が弱くても建設できることが利点です。

一方、強度は期待できませんので、高いダムは作れません。

 

おわりに

以上が水力発電に用いられるダムの種類です。

重力式、アーチ式、ロックフィル、アースダムの4種類の型式が主に水力発電で使用されています。

本記事がみなさんの理解の一助になれば幸いです。

 

 

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