水力発電の特徴(メリット,デメリットで分類)

水力発電

この記事では水力発電の特徴をメリット、デメリットに分けて説明します。
仕組みは知っているけど何が特徴なのか曖昧だという方が分かりやすいように、メリットとデメリットという枠に分けました。
電験三種の過去の出題傾向も踏まえていますので、試験対策にも使えます。

【まとめ】水力発電の特徴(メリット、デメリットで分類)

最初にまとめです。

 

水力発電の特徴

水力発電は水の位置エネルギーを電力に変換するという仕組みで、複数の特徴があります。

複数ある特徴の分類方法として本記事ではメリット、デメリットの枠を用います。

メリットな特徴

以下の7つの特徴がメリットです。
水の位置エネルギーを用いること由来するメリットが多くなっています。

再生可能エネルギー

水の位置エネルギーである水力は何度でも使える再生可能エネルギーです。

水は使用しても、河川から海へと流れ、蒸発して雲となり、雨になって元の位置に戻ってきます。

クリーン

水力発電は発電過程で環境に悪影響を与えないクリーンな発電方法です。

火力発電では燃料を燃焼させることによりCO2が出ますし、原子力発電では核燃料の核分裂によって放射線が出ます。

純国産のエネルギー

石油等の燃料になる資源が少ない日本にとって、水力は貴重な純国産のエネルギーです。

海外からエネルギーを購入しないため、戦争によって輸入できなかったり、為替の変動により高額になったりする心配がありません。

火力発電が主となる前の1960年代までは水力発電が日本の主流で、現在でも国内シェアは約8%となっています。
(注意:外部リンク) 経産省 「エネルギー白書2021」

発電コストが低い

発電コストは10.9円/kWhであり他の発電と比較して低くなっています。
(注意:外部リンク) 経産省 「電気をつくるには、どんなコストがかかる?」

発電コストとは1kWhの電力量を得るために何円必要なのかを表す指標です。

水力発電は建設費用が高いですが、燃料を購入する必要が無いため、トータルだと安く済みます。

直ぐに発電が可能

水力発電は停止状態から発電状態へ3~5分で移行することができます。
(注意:外部リンク) 関西電力 「水力発電の概要」

他の方式、例えば火力発電では点火してから安定した火力と圧力を得るまでに数時間を要します。

発電量の調整もしやすいため、電力需要のピーク時にのみフル稼働し他の時間は停止させるという調整も得意です。

エネルギーの備蓄が可能

水力発電の一種である揚水発電では、バッテリーのようにエネルギーの備蓄が可能です。

揚水発電は電力需要の少ない夜間に水を揚水してダムに貯水します。
貯水とは水の位置エネルギーを蓄えるということであり、バッテリーの充電と同じ役割です。
蓄えた水は電力需要が多くなる昼間に放水して発電に用います。

他の方式では電力を元のエネルギー、すなわち燃料、太陽光、風力に戻すことは不可能です。

無人化が可能

水力発電は遠隔監視制御装置を備えれば無人化することができます。

「電気設備の技術基準の解釈、第47条」で常時監視をしない発電所に水力発電は分類されているためです。

現在は多くの発電所が無人化されています。
(注意:外部リンク)  東京電力「水力発電所・変電所の無人化率」

 

以上の7つの特徴がメリットです。

デメリットな特徴

以下の4つの特徴がデメリットです。
自然を相手にすることに由来するデメリットが多くなっています。

発電量に限界がある

建設できる場所が限られるため、発電量に限界があります。

建設できる場所は、十分な落差を確保できる山地で、かつ、河川の流域面積が広くて降水量の多い地点に限られます。

既に開発しやすい所には発電所が建っており、現在は小規模なマイクロ発電の開発が進められています。
(注意:外部リンク)  経産省 「日本の水力エネルギー量」

建設による環境変化

建設できる場所が限られるため、環境変化の影響が大きくても建てざるを得ません。

建設工事により自然河川の流れを変えるため、河川の環境が変わり、そこに住む生物の生態に影響が出ます。

生物の生態だけではなく、大規模なダムだと村ごと沈める場合もあるので人間にも影響が出ます。

降水量の影響を受ける

水力発電は水不足だと発電できず、大雨だと停止します。

夏季に全く雨が降らない日が続き、最低水位になると発電は停止されます。
貯水、ダム式ならば、ある程度影響を低減することはできます。

逆に大雨の場合、水車に土砂が混入するのを防止するために発電は停止されます。

建設費用が高い

建設費は64万円/kWであり他の方式と比較して高額です。

他の発電の建設費用は、原子力37万円/kW、石炭火力25万円/kW、LNG火力12万円/kWとなっています。
(注意:外部リンク) 経産省 「各電源の諸元一覧(案)」

同じ水力発電でもダム式、ダム水路式は取水ダムだけの水路式と比較して高額になります。

 

以上の4つの特徴がデメリットです。

おわりに

以上が水力発電の特徴をメリット、デメリットで分類した説明となります。

水の位置エネルギーを利用することによるメリットもあれば、コントロールできない自然によるデメリットもあります。

本記事がみなさんの理解の一助になれば幸いです。

 

 

 

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