水力発電によるエネルギー変換の仕組み

水力発電

この記事では水力発電によるエネルギー変換の仕組みについて説明します。
電験3種の過去の出題傾向も踏まえていますので、試験対策にも使えます。
水力発電は毎年出題されていますので、しっかり押さえて確実に点を取りましょう。

【まとめ】水力発電によるエネルギー変換の仕組み

最初にまとめです。

水力発電によるエネルギー変換の仕組みのまとめ

水力発電の仕組み

水力発電は水の位置エネルギーを直線運動エネルギー、回転運動エネルギー、電力の順に変換する仕組みになっています。また、回転数、出力と電圧を安定させるための装置も必要です。

水の位置エネルギー

水力発電では高所にある水の位置エネルギーを利用します。

高低差のことを落差と呼び、落差の無い平野に湖があったとしても水力発電に用いることはできません。
水源となる自然河川に十分な落差があればそのまま用い、落差が足りない場合はダムを建設して高さを作ります。
また、山があっても雨が降らなければ発電に必要な流量を確保できませんので、豊富な水源であることも条件となります。

水は取水口から取り込み、水圧管に流します。

運動エネルギーに変換する仕組み

水圧管で水を落下させることにより、水の位置エネルギーは運動エネルギーに変換されます。

水圧管は密閉された管で、大きな水圧、特に水撃作用に耐えられるように頑丈な作りとなっています。

水撃作用とは、水の流量が急激に変化することにより生じる圧力変化のことです。
流量の急激な変化は発電機の負荷が急激に変化すると生じます。
水撃作用は水圧管の長さが長いほど、流量変化の時間が短いほど大きくなります。
ダム水路式では水圧管が長くなるため、水撃作用の対策の仕組みとして大気に開放されたサージタンクを途中に設けています。

運動エネルギーに変換された水は水車に流されます。

回転に変換する仕組み

運動エネルギーの向きは水車で直線から回転方向に変換されます。

水車の種類は複数あり、落差によって使用する水車が決まります。

回転運動エネルギーは水車と回転軸を共有している発電機に伝わります。

電力に変換する仕組み

回転運動エネルギーは発電機で電力に変換されます。

発電機としては突極形で回転界磁形の三相同期発電機が用いられます。
水車はタービン発電機と比べると低速回転するため、商用電源周波数の50/60Hzを発生させるためには磁極を多くとれる突極形が適しています。
回転子が大きくなりますが、低速回転するため遠心力により壊れる心配はありません。
また、落差を有効利用する場合は軸が鉛直方向となる立軸形が採用されます。

エネルギー源から電力に変換される仕組みは以上ですが、このままですと自然任せで水力発電は電力を安定供給できません。
そのため安定供給を行うための仕組みが水力発電には必要となります。

回転速度、出力と電圧を制御する仕組み

電力供給を安定化するため、調速機で水車の回転速度と発電機の出力を、自動電圧調整器で電圧を調整します。

調速機はガバナとも呼ばれ、発電機を負荷系統に並列するまでは回転速度を制御し、並列した後は出力を調整します。

また、水力発電所で事故が発生した際に水車の回転速度の異常な上昇を防ぐことも調速機の役割です。

おわりに

以上が水力発電によるエネルギー変換の仕組みとなります。
水力発電は水の位置エネルギーを水圧管で直線運動エネルギーに、水車で回転運動エネルギーに、発電機で電力に変換する発電方式です。
本記事がみなさんの理解の一助になれば幸いです。

 

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