強電に関わる場合、交流回路の次に三相交流を理解する必要があります。
テキストだと簡単に回路図だけで説明されている場合もあり、分かりにくいかもしれません。
ここでは発電のイメージ図も交えて分かりやすくしました。
【まとめ】 単相交流と三相交流、二相交流とは何か
最初にまとめです。
はじめに
電源回路は直流電圧・電流を取り扱う直流電源回路と交流電圧・電流を取り扱う交流電源回路に大別されます。
交流電源回路には、電圧源を1つ有する単相交流や電圧源を2つ有する二相交流、3つ有する三相交流等の多相交流があります。
現在の交流電源回路の主流は単相交流と三相交流です。
以降では単相交流と三相交流、そして三相交流の発展に寄与した二相交流について説明します。
単相交流
動力により発電機内の回転子を回すと、コイル内を貫く磁束が変化し、コイルに誘導起電力が発生します。
コイルが1つの場合、単相交流(single phase A.C.)として発電が行われます。
以下に単相交流発電のイメージを示します。
単相交流の起電力を表す式と波形は正弦波となります。
式中のEは電圧の実効値[V]、\omegaは角周波数[rad/Hz]、tは時間[s]を意味します。
単相交流発電機は物理的にはコイルですが、回路図ではその誘導起電力のみを交流電源のシンボルで表します。
三相交流
コイルを3つ、120°の角度をつけて配置した場合、三相交流(three phase A.C.)として発電が行われます。
以下に三相交流発電のイメージを示します。
三相交流では位相が120°(\(2\pi/3\)[rad])ずれた3つの起電力が出力されます。
起電力を表す式と波形を以下に示します。
相数が増えても周波数は変わらないため、計算を行う際は電圧・電流の大きさと位相を求めることになります。
その観点では、式は三角関数で表すよりもフェーザ表示した方が、図示は波形よりもベクトル図で表した方が分かりやすくなります。
三相交流の結線方法にはY結線(ワイけっせん; Y connection)とΔ結線(デルタけっせん; delta connection)があります。
Y結線はスター結線や星型結線とも呼ばれます。
Δ結線には派生形であるV結線(V connection, open delta connection)があります。
負荷も基本的にY結線かΔ結線にします。
負荷のV結線が存在しない理由は、単に三相のうち2相からそれぞれ単相を取り出すだけを意味するからです。
また、電源と負荷の結線の種類が異なっていても問題ありません。
二相交流
コイルを2つ、90°の角度をつけて配置した場合、二相交流(two phase A.C.)として発電が行われます。
以下に二相交流発電のイメージを示します。
二相交流では位相が90°(=\pi/2[rad])ずれた2つの起電力が出力されます。
起電力を表す式と波形を以下に示します。
二相交流ではそれぞれの電源に2本の電線を接続し、計4本の電線が必要となります。
4本のうち1本を共通線とすることで3本に減らすことはできますが、共通線を太くする等の工夫が必要となります。
おわりに
以上が単相交流と三相交流、二相交流に関する説明です。
単相交流は1つの電圧源で、三相交流は1組となる位相が120°ずれた3つの電圧源で、二相交流は1組となる位相が90°ずれた2つの電圧源で負荷に電流を供給する交流電源回路です。
現在は単相交流と三相交流が交流電源回路の主流になっています。
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