基本語順による言語の分類

文章の書き方
この記事では基本語順による言語の分類について説明します。
基本語順とは何か、どの語順にどの言語がどれくらい含まれているのか、基本語順以外の語順がある場合などについて述べます。
【まとめ】 基本語順による言語の分類

最初にまとめです。

基本語順による言語の分類 まとめ

はじめに

基本語順とは各言語の語順に関する特徴を簡易に表したものです。
基本語順による言語の分類にはSOV型、SVO型、VSO型などがあり、言語数の調査やどの言語が該当するかの調査や考察が行われています。
基本語順だけでなく複数の語順を許容する言語もあり、そこには文法要素が関わってきます。

基本語順とは

基本語順(basic word order)とは、支配的語順(dominant word order)とも呼ばれ、各言語の語順に関する特徴を主語(Subject)と目的語(Object)、動詞(Verb)の3つの要素の組み合わせで簡易に表したものです。

グリーンバーグ(Greenberg)が1963年に考案し、SOV型、SVO型、VSO型、VOS型、OVS型、OSV型の6種類が論理的な組み合わせとして存在します。

複数の語順を許容する言語についても使用頻度などで基本語順は決定され、基本語順ではない語順は有標(marked)とみなされます。

各基本語順の言語数と該当言語

各基本語順の言語数はドライアー(Dryer)の調査によると以下の通りとなります。各基本語順に該当する言語も合わせて示します。括弧内は総言語数1376個に対するパーセンテージです。

SOV型:564言語(41.0%)、日本語、韓国語など
SVO型:488言語(35.5%)、英語、中国語など
VSO型:95言語(7.0%)、アラビア語、アイルランド語など
VOS型:25言語(1.8%)、マダガスカル語、フィジー語など
OVS型:11言語(0.8%)、南米の先住民族の言語
OSV型:4言語(0.3%)、南米の先住民族の言語
基本語順無し:189言語(13.7%)、ドイツ語、オランダ語など

基本語順に関する考察

ドライアーの基本語順に関する調査を考察すると、以下のことが言えます。

  • 最多はSOV型、次に多いのはSVO型である
  • SOV型とSVO型のように主語(S)が先頭につく語順が多数で、全体の約3/4を占める
  • SOV型とSVO型にVSO型を加えた3つの語順で83.5%となり、ほとんどの言語を占めている
  • 主語(S)を除いたOV型とVO型に分けると579言語と608言語になり、ほぼ均等に分けられる
語順の厳密さと文法要素との関係

語順の厳密さと文法要素には関係があり、格や主題、焦点を接辞や接語で表す言語は複数の語順を許容する場合が多いです。

格(Case)は文法範疇の1つで、名詞類が文中で他の語に対してとる関係のあり方を表します。代表的な格として主格、対格、与格などがあります。
主題(theme)は話題(Topic)とも呼ばれ、文で陳述の対象とする要素のことを指します。
焦点(focus)とは、節の要素のうち、聞き手が前提としていない、新しい情報を伝える部分のことです。

日本語は比較的語順が自由で、それは格を助詞のハとガで表し、主題はハ、焦点はガを用いることで表現できるためです。

おわりに

以上が基本語順による言語の分類です。

基本語順は主語(S)と目的語(O)、動詞(V)の組み合わせで語順の特徴を表したものです。
組み合わせには6種類ありますが、SOV型、SVO型、VSO型が多数を占めます。
基本語順以外の語順を許容する言語もあり、接辞や接語を用いる言語に多くみられます。

 

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