形態的類型論の概要

文章の書き方
この記事では形態的類型論の概要について説明します。
孤立語、屈折語、膠着語、抱合語などが関わります。
【まとめ】形態的類型論の概要

最初にまとめです。

形態的類型論の概要 まとめ

形態的類型論とは

形態的類型論(morphological typology)は、語を構成する形態素レベルで言語を分類・考察しようとする方法論です。

1850年にアウグスト・シュライヒャー(August Schleicher)が文法的形態素の変化に着目し、孤立語と屈折語、膠着語(こうちゃくご)の3種類に大別しました。
文法的形態素とは文法的な機能を表す形態素のことで、日本語では助詞や助動詞、活用語尾が該当します。

単語を構成する形態素の数で言語を分類する方法もあり、分析的言語と総合的言語に分けます。
総合的言語のうち、動詞に多数の形態素を有する言語は、文法的形態素だけでなく語彙的形態素を含むかどうかで、さらに抱合語と複統合的言語に分けられます。

これらの分類はステレオタイプ的であり、実際は明確に分類できるものではなく、各言語はそれぞれの特徴を多かれ少なかれ含んでいますので注意しましょう。

孤立語

孤立語(isolating language)は、文法関係を屈折や接辞ではなく語順で表し、個々の形態素が語としての独立性を保っている言語です。

中国語やチベット語、ベトナム語、ビルマ語、ラオス語、タイ語、クメール語などが孤立語としての特徴を有しています。

屈折語

屈折語(fusional language)は、語の屈折によって文法関係を表し、文法機能を表す形態素が語の中に分離できない形で埋め込まれている言語です。

ロシア語やドイツ語、アラビア語、英語などが屈折語としての特徴を有しています。
日本語にも屈折語の特徴はあり、述語の活用が屈折です。

膠着語

膠着語(agglutinative language)は、語幹に接辞や節語を付けることで文法関係を表す言語です。

日本語や韓国語、テュルク諸語、モンゴル諸語、ツングース諸語、ウラル語族などが膠着語としての特徴を有しています。

分析的言語と総合的言語

分析的言語と総合的言語は、単語を構成する形態素の数で言語を分類します。

分析的言語(Analytic language)は単語が単一の形態素から成る言語で、孤立語が該当します。

総合的言語(Synthetic language)は単語が複数の形態素から成る言語で、屈折語、膠着語などが該当します。

抱合語と複統合的言語

シベリアからアメリカ大陸にかけて居住している先住民族の言語は統合的言語に分類され、動詞が多数の形態素から成るという特徴を有しており、語彙的形態素の有無によって2つの分類がされています。

抱合語(incorporating language)は、語に文法的形態素だけでなく語彙的形態素を含む言語です。

複統合的言語(polysynthetic language)は、語が多数の文法的形態素のみから成っている言語です。

抱合語の特徴を持ち、複統合的言語の特徴を持たない言語にはアイヌ語、抱合語の特徴を持たず、複統合的言語の特徴を持つ言語にはエスキモー語、両方の特徴を有する言語にはチュクチ語があります。
日本語にも抱合語の特徴はあり、横切る、よみがえるなどが抱合です。

おわりに

以上が形態的類型論の概要です。

文法的形態素に着目した分類として孤立語、屈折語、膠着語の3つがあります。
形態素の数に着目した分類には分析的言語と総合的言語があり、総合的言語のうち、動詞に語彙的形態素を含むものを抱合語、含まないものを複統合的言語といいます。

 

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