日本語の文法体系

文章の書き方
この記事では日本語の文法体系について説明します。
日本語の文法を学び直したいけど、何から取り組めばいいのか分からなくて困っていないでしょうか。
それはそもそも文法とは何なのかが分かっていないためかも知れません。
文法とは何か、何で構成されているのか、何種類あるのかを体系立てて整理すると分かりやすくなります。
文法について全体を俯瞰して効率よく学習できるようになりましょう。

【まとめ】

最初にまとめです。

日本語の文法体系まとめ

はじめに

文法とは語や文に関する規則の集合です。
文法を構成する規則は文の成分、語順、品詞、屈折の4つです。
日本語の文法は国語文法と現代日本語文法、日本語教育文法の3種類に大別されますので学ぶ際には注意しましょう。

文法とは

文法(grammar)とは、理屈ではなく、文の構成や語の形成を説明する規則の集合です。

文は節、節は句、句は語、語は形態素から成るというのが文の構造です。
文の構造は各言語で共通ですが、文の構成に関わる文の成分と語順、品詞、及び語の形成の仕方である屈折が各言語で異なります。
これらは何らかの法則により決まる理屈的なものではなく、個々の言語においてこれまでの歴史の中で定まってきた規則です。

母語の文法は無意識に習得してしまうため、母語を学び直す際は文法とは何であるのかをしっかりと意識しましょう。

文法を構成する規則

文法を構成する規則は、語を役割で分類する規則である文の成分、語の配置に関する規則である語順、語をその働きで分類する規則である品詞、語形変化に関する規則である屈折の4つです。

文の成分

文の成分(sentence element)は、文中の語をその役割で分類する規則で、主語、述語、目的語、補足語、修飾語などがあります。
日本語で重要なのは文の中心的な要素である述語と述語が表す意味を補足する補足語の2つです。

語順

語順(word order)は、文中の語の配置に関する規則で、主語(S)、動詞(V)、目的語(O)の組み合わせとしてSOV型、SVO型などがあります。
日本語はSOV型の言語に分類されますが、Vの位置以外は助詞の影響の方が強いため、必ずしもSOVの順になるわけではありません。
また、日本語は主語優勢言語ではなく主題優先言語であるため、主語が省略されているケースもあります。

品詞

品詞(parts of speech)は、語をその働きによって分類する規則で、名詞、動詞、形容詞などに分けます。
日本語には名詞、動詞、形容詞のほか、助詞、判定詞、指示詞、副詞、連体詞、接続詞、感動詞の計11種類があります。

屈折

屈折(inflection)は、語彙的な意味を持つ語幹、または語基に様々な文法的要素がつくことで語形が変化することに関する規則で、活用、曲用、接辞があります。
日本語では活用と接辞が用いられます。

日本語の文法教育は3種類に大別される

日本語の文法教育は、国語文法と現代日本語文法、日本語教育文法の3種類に大別され、それぞれ用途が異なりますので学ぶ際は注意しましょう。
社会人になってから文法を学び直す場合は、現代日本語文法を学びます。

国語文法

国語文法は国文法、学校文法とも呼ばれます。
学校教育において日本語を母語とする者に対して教えられ、日本語をよりよく使用できるようにすることを目的とする文法です。
国語文法は4大文法の1つである橋本文法を源流とし、1943年に文部省が国定教科書として編纂した「中等文法」を基に、現代まで大きな改良がされることなく学校教育に用いられています。
日本人の教養教育のために古典とのつながりを重視しているため、近代の言語学研究が反映されていないという問題点があります。

現代日本語文法

現代日本語文法は、言語学者が研究対象としている現代の日本語母語話者が用いる文法です。
海外の言語学の影響を受けて研究が進んでおり、国語文法では曖昧だった統語論と意味論の区別を明確にしています。

以下の点が国語文法と異なっています。

  • 形容動詞を品詞の1つとして扱わず、形容詞の1つとする(日本語教育ではナ形容詞としている)
  • 国語文法の助動詞は接尾辞や活用語尾などの屈折であると考える
  • 文の構造として文節を用いず、節、句、語を用いる
  • 日本語の文に主題はあるが、主語として必ず文中に配置する必要はない
日本語教育文法

日本語教育文法は第二言語教育において日本語を母語としない者に対して教えられ、日本語の習得を目的とする文法です。
日本語初心者が理解するには難しい国語文法ではなく、言語学や現代日本語文法を基に作られています。

以下のように表現を簡易にし、初心者が日本語の文法を理解しやすいようにしています。

  • 動詞の活用の仕方は1,2,3グループと表現する
  • 活用形は「辞書形、ます形、ない形などと表現する
  • 形容詞はイ形容詞、形容動詞はナ形容詞と表現する

おわりに

以上が日本語の文法体系です。

文法は文の成分、語順、品詞、屈折などの規則の集合です。
日本語では文の成分として述語と補足語が重要視されます。
語順はSOV型ですが、動詞(V)以外は順番が確定しているわけではなく、主語がない場合もあります。
語の品詞には名詞、動詞など11種類あり、屈折には活用と接辞の2種類があります。
日本語の文法教育には学校教育で用いられる国語文法、現代日本語を対象としている現代日本語文法、第二言語教育で用いられている日本語教育文法の3種類があります。

参考文献

以下が参考にした文献です。

原沢伊都夫:日本語教師のための入門言語学(初版5刷), スリーエーネットワーク(2021)
富田英夫:日本語文法の要点(初版5刷), くろしお出版(2018)
藤原雅憲:日本語教育 よくわかる文法(初版2刷), アルク(2021)

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