電力と電力量

電気回路

この記事では電気回路で生じる電力と電力量ついて説明をします。
電力は発熱や機器の作動時間の他、電源の能力と関わります。
回路の設計を行わない人でも業務や日常生活で必要とされる知識ですので、ぜひ理解しましょう。

【まとめ】電力
最初にまとめです。
ジュール熱とジュールの法則

ジュール熱(Joule heat)とは、抵抗に電流を流したときに生じる熱のことです。

抵抗\(R\)[Ω]に電流\(I\)[A]が時間\(t\)[s]間流れたときに生じる熱エネルギー\(H\)[J]は以下の式で表されます。


これをジュールの法則(Joule’s laws)と呼びます。

電力と電力量

電力(electric power)とは、電流が行う仕事のことです。
電流が流れたことにより熱エネルギーが発生するということは、電流が物理学でいう仕事を行ったということです。

電力\(P\)は以下の式で求められます。

また、電力はオームの法則より以下のように変形ができます。

電力\(P\)と熱エネルギー\(H\)は以下の関係となります。

電力\(P\)は単位時間当たりの仕事量ですが、これに時間\(t\)をかけると、その回路で行われる全仕事量となります。
これを電力量(electric energy)と呼び、以下の式で求められます。

単位は[Ws]ですが、これで値がとても大きくなるので、実用的には秒単位を時間単位にした[Wh]か、それをさらに1000倍にした[kWh]が用いられます。

最大電力の条件

電源に内部抵抗\(r\)が含まれる場合、負荷抵抗\(R\)に供給される電力が最大となる条件は、内部抵抗\(r\)と負荷抵抗\(R\)が等しい、すなわち\(R=r\)のときです。

先ほどは電源に内部抵抗\(r\)が無い場合でしたが、内部抵抗\(r\)がある場合だと、内部抵抗\(r\)と負荷抵抗\(R\)の大きさの関係によって、負荷抵抗\(R\)に供給される電力が変わります。

当然、供給される電力を最大にしたいので、その条件を求めます。
ここでは内部抵抗\(r\)は固定とし、負荷抵抗\(R\)の値を求めます。

負荷に流れる電流を\(I\)とすると、電力\(P\)は次式となります。

電源電圧\(E\)は一定なので、分母が最小の場合に電力\(P\)は最大になります。
分母が最小となる条件は、負荷抵抗\(R\)で微分したときに0となることなので、

すなわち、内部抵抗\(r\)と負荷抵抗\(R\)が等しい時に負荷抵抗\(R\)に供給される電力\(P\)は最大となります。

このときの最大電力\(P\)maxは以下となります。

定格電力

抵抗にはいくらでも電流を流せるわけではなく、限界が存在します。
その限界値は電力で規定されており、これを定格電力(power rating)と呼びます。

回路設計で抵抗を用いる場合は、抵抗の定格電力に注意してください。
1/8W、1/4W、1/2W等の種類があります。

定格以上の電力を加えると発熱により抵抗が破損します。
最悪発火により火災が生じますので、必ず定格を守るようにしましょう。

その他

電気回路全般については以下をご覧下さい。

 

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